施設に関しては設計の段階から長い間頭の中の「いとう眼科」に住み込んでいましたので思いつく限りの工夫、間取り、動線、収納は実現できたと思いますし、患者さんから清潔であるとか開放的であるとか、待ち時間を快適に過ごせますとのお褒めの言葉をいただくことは、とてもうれしく思います。
しかし、医療の原点が人対人である以上、「いとう眼科」で一番大事なのはその中で働いている人であるという想いは、現在も強く持っています。社会保険労務士である実弟を事務長として迎えたのも、人に関してのスペシャリストとして、職員が働きやすい環境を構築する力になってくれることを期待してのことでした。それ以外でも、開業の立案段階から一心同体としてすべてのことに粉骨砕身してもらったことも順調に開院できた最大の要因と思います。
開院してからしばらくは、大変な時期が続きました。患者さんの前に立つからには、職員ひとりひとりがプロとして応対しなければならないし、医療に関わる人間はミスから学ぶのではなく、ミスを起こさないように万策を講じなければならない、そこに一切の妥協は許されないとの思いから非常に高度なレベルを職員に要求し、そこへの到達を急ぎすぎてしまっていました。過度な期待を寄せすぎることで、それが職員にとって重圧となり、思い描いていた「いとう眼科」とは違う方向へ向かってしまっていた時期もありました。なかなか理想の形になれないあせり・いらだちで苦悩の日々が続きました。そんな折患者さんにアンケートにご協力いただき、暖かい言葉をたくさんいただきました。そんな状況でも頑張ってくれる職員がいました。あきらめてはいけないと思い、できることを必死に模索しました。せっかく医療に対する資質を持ち努力を惜しまない職員がそろってくれたので、その職員が楽しみ、やりがいを感じて仕事ができるような環境を得るため、自分自身を客観的にみて、私自身が成長していかないといけないと気づくまでに、大分時間を必要としてしまいました。
相手の非を見つける行為はお互いにネガティブなスパイラルにしか成りえず、いいところを見つけて伸ばしてあげることがポジティブなスパイラルへと発展し得ること。
いろいろな結果に対しての原因は自分以外の人や物のせいではなく、すべて自らの責任と認識すること。
頭ではわかっていても実際にできていなかったことなどが次々出てきました。
現在は皆が同じ目標に向かってそれぞれ努力をして、医院としてのまとまりを感じられるようになってきました。さらに、家族のように団結できるようになったとき、私たちの考える理想の「いとう眼科」に皆さんをお迎えすることができるようになると思います。今はそこへ成長する過程ですが、その過程を大事に、日々医療に真摯に向き合い努力を積み重ねていきたいと思います。
地域の皆様これからもどうぞよろしく願いいたします。 平成18年12月
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